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: 『とある魔術の禁書目録』の著者、鎌池和馬さんから6巻のプレビューSSを頂きました。この場を借りてお礼申し上げます。ありがとうございます。
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とある予言の禁書目録
鎌池和馬

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 八月三〇日、とある学生寮の一室にて。

 広くもなければ狭くもない部屋に平凡なる男子高校生・上条当麻(かみじょうとうま)が帰ってくると、
 奥からバタバタと乱暴な足音を立てて、白地に金糸の刺繍(ししゅう)を施した豪華な修道服を着た銀髪のシスターさんが走ってきた。
 一四、五歳ぐらいの、まだ顔に幼さの残る少女の名前はインデックスという。
 明らかに偽名なのだが、誰もその事にツッコミを入れたりはしないのだった。

 ちなみに彼女は一〇万三〇〇〇冊もの魔道書の保管を任されているトンデモ少女だったりする。
 その代わりと言っては何だが、インデックスは電子レンジの使い方も分からないぐらい一般的・科学的な常識がない。

 少女は言う。

「とうまとうまとうま!なんか『たくはいびん』とかいうので『マラキの予言』っていう預言書がやってきたよ!とりあえず判子は押しておいたから!」
「……あの、そんな明らかに怪しげな物品は勝手に受け取らないでくださいまし」
「あと『ほうもんはんばい』とかいうのと『ビデオつうはん』とかいうのもやってきたからとりあえず判子を押しておいたよ!」
「とりあえずで何でもかんでも人の判子を押すんじゃねえよ!!」

 上条が玄関から部屋へ入ると、隅っこの方に見覚えのない新品のマッサージ椅子が鎮座してあった。
 少年が頭を抱えていると、インデックスはガラステーブルの上に置いてあったケーキが入るぐらいの紙箱を手に取る。

 見るからに異様な箱だった。
 基本は白い真四角の箱なのだが、箱の角は潰れているし古く黄ばんだお札を強引に剥(は)がしたような痕跡がいくつも見られる。
 箱の上に貼り付けられた荷札の紙のお届け物内容の欄には、漆黒の墨で『マラキの予言』と荘厳(そうごん)な筆遣いで書かれていたが、
あまりに達筆すぎて逆に上条は読むのに苦労した。
 送り主の欄の方はもう漢字というより得体の知れない象形文字みたいなのが書かれていて、誰の名前なのか判別できない。
 こんなの一体誰が送ってきたんだ、と上条はさらに頭を抱えた。
 もっとも、基本的に不幸人間である彼は大体一日の三分の一ぐらいはこんな顔をしている。

 インデックスは『開けちゃうからねー』と一方的に言うと、上条の返事を待たずにバリバリと箱を破るようにして中身を取り出す。
衝撃吸収用の丸まった紙と一緒に出てきたのは、古い革張りの本だった。

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 上条はまたまた自分が不幸な出来事に巻き込まれつつあるんじゃなかろうな、とか思いながら、
「で、『マラキの予言』って何なんだよ、インデックス。また何か怪しげなオカルトっぽい感じだけど」
「うん。十字教公認の預言書だね。原典の著者はローマのアーマ大司教で一一三九年に書かれたものなの。
でもこれはちょっと紙が新しそうだから、マラキの予言のシステムを利用して別の魔術師が作ったお手軽な預言書だろうね」
「??? 預言書、ねえ。誰が送ってきたんだそんなの。……あ。そういやこの夏休みも一〇万三〇〇〇冊の魔道書とか何とか色々出てきたけど、
現物の魔道書見るのはこれが初めてかもなー」
「違うよ、とうま。預言書は魔道書じゃないの。占いに使う水晶球とかタロットとかと同じ、魔術器具だよ。本の形をしてるからって騙されちゃダメかも」
「……、このシリーズは、いつになったら本物の魔道書が出てくるんだ?」

 上条はちょっとくじけそうになる。
 炎天下の屋外から部屋へ帰ってきた彼は喉(のど)が渇(かわ)いていたので、冷蔵庫の中にある紙パックのジュース
(グレープ、アップル、マンゴー、メロンの四個セットで一五〇円)を取り出し、ストローを突き刺してちゅーちゅー飲み始めた。
 インデックスがもの欲しそうな目で上条の顔を見ていたため、彼は冷蔵庫からもう一個パックを取り出して手渡す。
 インデックスは基本的に何味のジュースでも美味しくいただけるらしく、嬉々とした顔でジュースを飲み始める。

「でも、預言書ってなー。ノストラダムスブームは前世紀に終わったんじゃねーのか?」
「彼の『百詩撰集』は西暦三〇〇〇年以上先まで予言が続いているんだけどね」

 インデックスは『マラキの予言』の表紙を指でなぞりながらそんな事を言う。
 上条はまだまだ疑心暗鬼な顔で謎の預言書(真偽不明)を眺めながら、

「でも、予言なんてホントに当たるのかよ?」
「理論上は可能だよ。未来を知るなんて簡単簡単。この預言書には、とある術式が組み込まれてるの。
『周囲の情報を記録して、それらの情報を一〇年前に送れ』っていう命令文だね。後はこの本が壊れないように一〇年以上保存しておけばいいの。
そうすれば『一〇年後の時点の「未来」から、一〇年前の「現代」へ情報を送ってきてくれる預言書』が作れるんだよ」

 ふうん、と上条は適当に頷いた。
『現代』にある預言書が『過去』へ情報を送るのと同時に、玉突きのように今度は『未来』にある預言書が『現代』へ情報を送ってきてくれるのだろうか、
 とか何とか適当にむにゃむにゃと考えてみる。

 初っ端から小難しい話をされたので実はちょっと飽きてきたというのは内緒である。

「でも、一〇年後の時点の『未来』から一〇年前の『現代』へ情報を送ってきてくれるって、どうやって?」
「うーん。例えば一ヵ月後に食料庫が空になる、という『未来』があるとしたら、それより前の『現代』でも、みんながいっぱい食べ物を口にしてるのを見て
『このペースでいくと一ヶ月ぐらいで食料庫が空になりそうだな』っていう予測が立てられるよね? それと一緒。『未来』にあるマラキの予言の本のページが、
予言内容に従って自動的に変化するの。『現代』から見ても簡単に予測できるぐらい、分かりやすい『予兆』を示してくれる変化をね」
 その『予兆』を感知して自動的に文字が書かれていくんだよ、とインデックスは言った。

 上条は、ぽかーん、とした顔のまま、
「そんな説明では理屈はサッパリ理解できなかったが、とにかく魔術世界では預言書の存在は日常的なものであるらしいと上条は適当に考えてみた。」
「ぐあっ!? とうまが自分の理解能力を放棄して機械的な反応であしらおうとしてる!?」

 インデックスは騒いでいたが、上条は聞く耳を持たずにベランダに干してあった洗濯物を取り込み始めた。
 彼女は目尻にやや涙を浮かべつつ、マラキの予言の表紙を開く。

「ふ、ふん。そんなとうまだって、マラキの予言の現物を見ればびっくりするに決まってるんだから。とりあえず九月一日『しぎょうしき』の内容を予言しちゃうよ」
「始業式、ねえ。あ、もうすぐ夏休み終わっちまうんだ」上条は適当に返事をしながら、マラキの予言のページを覗(のぞ)き込む。

『二〇〇五の年、七の月の一〇日目。とある魔術の六度目。学園都市の始業式の日』

 ……あれ? と上条は首を傾げる。
「今って二〇〇五年だっけ? 少なくとも始業式は七月一〇日じゃねーと思うけど」
「とうま。預言書に書かれた事を鵜呑(うの)みにしちゃ駄目。ノストラダムスの予言だって一九九九年に人類が絶滅した訳じゃないでしょ。
この手の預言書は言い回しが面倒なの」
「ふうん。あー、映画とかで見かけるな、そういうの。例えば『天空より人を観察する巨大な瞳』が『人工衛星』を差してたりとか?」
「うん。だから発売日が書かれてるぐらいで驚かないで」
「いや、発売……?」

 さらに疑問の種が膨(ふく)らんできたが、インデックスがとても真面目な顔でページを見ているので上条は質問するタイミングを失ってしまった。
 彼はインデックスにならって、ページに書かれた文字を目で追ってみる。すると、

『新たなる季節の始まりの時。敵の攻撃を受けた上条当麻は地面に這(は)いつくばって動けなくなるだろう』

「……………………………………………………………………………………………………、」

 えーっと、と上条は猛烈(もうれつ)な不幸の予感を感じて黙ったまま泣きそうな顔になる。

 とりあえず、敵の攻撃って何?

 やだなぁ、始業式の話だよね?

 また変な事に巻き込まれたりしないよね?

 と彼はインデックスに確認を取ろうとしたが彼女は予言書の内容に夢中で答えてくれない。

「あ、まだ何か書いてあるよ」
 インデックスが細く白い人差し指の先で文字をなぞっていく。

『同日、上条当麻は二名の裸を目撃するだろう』

「……………………………………………………………………………………………………、」

 今度はインデックスが黙ったまま体をぶるぶると震わせ始めた。
 上条は隣の少女が放つ怒りの空気を敏感に感じ取って、
「い、いや待ってくださいインデックスさん! これはまだ決定もしてない仮定の話じゃないですかほらむしろ恐るべき運命に
これから少年少女が抗(あらが)っていく話なんですよきっと!!」
 彼は脅(おび)えながら(しかし内心でやや期待が膨らむのは否定できず)、ハタ迷惑な預言書に目をやると、

『しかし裸になるのが女性だとは誰も断言してない』

「おい! なんだこの期待をあおってからの奈落に突き落とす非道なやり口は!?」

『だから男性だとも断言してないってば』

「嘘だ! どうせ二名の裸とか言って青髪ピアスと土御門(つちみかど)のコンボでしょ、もうオチ見えてんだよ!
なんか水着の時にもそんなのあっただろ!」

『男性だけとも女性だけとも言ってない。二名の裸なら男女ペアもあるかもよ?』

「『かもよ?』って……こいつ、答えを知ってるくせに!!」

『ちなみに上条当麻と白い修道服を着た少女が絡み合うというか、もつれ合うシーンはある』

 え!? と上条は驚いて預言書の文字をもう一度見る。
 どっきーん! と彼の心臓が跳ね上がるのと同時に、隣に立っているインデックスは顔を真っ赤にして呼吸を止める。

『あとは女の子が、体の奥の方にある大切な所を見せてくれる。しかしそれは上条当麻が想像していたものとは少し違っていたので、
純情少年の心はショックを受けてしまうかもしれない』

 ばたーん! とインデックスが勢い良く後ろへ倒れた。赤くなりすぎた顔から湯気が出そうになっている。
「ってかなんだこのエロ預言書! 一応確認するけどこれ始業式の話をしてんだよな? こんなクレイジーな内容の始業式があってたまるか!?」
「ほ、他の日付はどんな事が書いてあるのかな? みんなこんな内容だったらやだかも」
 インデックスはふらふらと起き上がると、恐る恐るページをめくってみる。

「んー。これは一巻の内容だね」
「あの、一巻?」
「マラキの予言は日付ごとに巻とか章とかに分かれて書かれているのっ! ほら」

『二〇〇四の年、四の月の一〇日目。とある魔術の一度目。白き輝く羽が舞い降りる時。朝起きたらベランダに女の子が引っかかっている。
この天然かたくな不思議少女はお腹がすいているので、ご飯を与えれば簡単に陥落(かんらく)するだろう』

「……。いや、良く分かんないんだけど、こんなライトに流して良い話なのか?」
「あ、まだ続きがあるかも」

『同日、生意気な女子中学生・御坂美琴が登場するがこの人物とはそれっきり。しかも次の巻では登場もしない。代わりに二巻では変な巫女が出てくる』

「ちょっと待ちなさいよ! 何なのよ私のこの扱いは!?」
 と、いきなり叫び声と共に、茶色い髪の少女が出現した。
 白い半袖のブラウスにベージュ色のサマーセーター、灰色のプリーツスカートの少女の名前は御坂美琴(みさかみこと)という。
 彼女は超電磁砲(レールガン)という別名で呼ばれ一〇億ボルトもの高圧電流を自在に操れるほどの、強大な電撃使いだったりする。

 上条とインデックスは何の前触れもなく登場してしまった謎人物に、ビクゥ! と驚き、
「ど、どこから?」
「始めっからアンタ達の目の前に立ってたわよ! なのに一文字たりとも説明文がなかったから居ないように見えてたのよ!
さんざん叫んでるのに台詞(せりふ)も文字にならないし!! 何なの、アンタ達の頭の中じゃ私の音声だけ着信拒否設定がオンにされてんのか!?」

 怒りに任せて両腕を振り回して前髪からバチバチと静電気のような火花を散らす美琴を見てから、
 上条とインデックスはなんでもなかったようにお互いの顔を見合わせて、

「で、結局このマラキの予言って必ずその通りの未来を迎えるしかねーのか?」
「うーん。これは現時点での未来予想図に過ぎないかも。
もしも未来が確定的なものだったとしても、とうまの右手の例外性を考えればいくらでも修正が効くのかもね。
とうまの不幸だって『本来の歴史ではありえないはずの不幸』じゃないかなって気はするし」
「って、え? ちょっと待ってってば! あれ、あれ、聞こえてない? おーい!
え、なに? ひょっとしてもう私って特に何の説明もなくデフォでスルーされる役回りなのーっ!?」

 耳元で大騒ぎする女子中学生を上条が適当に相手していると、インデックスは『これは二巻の内容かな?』と口にしつつ、
 さらに『マラキの予言』のページをぱらぱらとめくり、

『二〇〇四の年、六の月の一〇日目。とある魔術の二度目。硝子(ガラス)の要塞が夏空の青と赤に染まる時。長い黒髪の巫女さんが現れるが、
この巫女さんは巫女さんらしい事を何一つしてくれない。ちなみに次の巻に出てくる美琴の妹も妹らしい言動が一切ない』

「巫女さん巫女さんとうるさい。それではまるで。私が巫女装束を脱いだら。何にも残らないように聞こえる」
 うわっ!? と上条は突然ベッドの下から聞こえてきた平淡な女の子の声に飛び上がった。彼が恐る恐る覗き込んでみると、
ベッド下の狭いスペースに『長い黒髪の巫女さん』と表記された姫神秋沙(ひめがみあいさ)が潜り込んでいた。
 なんと表現すべきか、今までそんな所に隠れていたためとてもホコリっぽくなっている巫女さんである。

 と、今度はユニットバスのドアが開いた。
「お風呂をお借りしました、とミサカは裸にぶかぶかのTシャツ一丁の格好で部屋の主へ報告します」
 宣言通り素肌に上条のTシャツを着ただけの女の子は、一見すると御坂美琴と同じ顔立ちをしている。
 キチンと見ても遺伝子レベルでそっくりさんの御坂妹(みさかいもうと)だ。

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「あなたが帰ってくる少し前にここへ到着したのですが、気温の高さにより多少発汗(はっかん)していた所、
そちらの白い修道服を着た家主代理の少女から入浴を勧められたので好意に甘えてみた次第です、とミサカは流れるような事情説明を行います。
……? 何故黙っているのですか、とミサカは小首を傾げます。あなたが顔を赤くして視線を逸らしている理由が想像できないのですが、
とミサカはあなたの顔を真っ直ぐ見ながら問いかけます」

 ぃぇ、と上条はガチガチに固まったまま返事をする。
 ぶかぶかのTシャツからは御坂妹の太股(ふともも)がかなり根元に近い部分まで露出していて、しかも入浴後なのでほんのり赤いし石鹸の匂いがする。
 一方そのころベッドの下では姫神がうっすらと微笑んで『私の出番はこれっきり。うふふ。私はいっつもこんな感じ』とか何とか言っていた。
 ちなみに、もし上条が姫神の代わりにベッドの下に潜っていたらアングルの関係で御坂妹の姿を目撃した直後に彼はショック死していたかもしれない。

「……、しかしまぁ」
 何か急に人数が増えてきたなー、と上条は狭い部屋をきょろきょろと見回す。インデックスはため息と共に
「まったく、何を今さら。とうまの周りの男女比はいつもこんな感じかも。あっ、これは三巻だ」と言いながらさらにマラキの予言のページをめくっていく。

『二〇〇四の年、九の月の一〇日目。とある魔術の三度目。夜の街に意思持つ風が吹き抜ける時。何気に女性の登場人数は多いかもしれない。
ちなみに御坂の妹はパンツを見せてくれるが姉は見せてくれない。がっかり』

「だ、誰よこれ書いたの!? ってか見せないのが普通でしょうが!!」
 美琴は常識人としてのコメントを残すが、その隣には裸にTシャツ一丁という非常識な格好の妹が、ぼーっと突っ立っている。
 インデックスが次のページをめくると、

『二〇〇四の年、一二の月の一〇日目。とある魔術の四度目。夏の海に暗き夜のとばりが下ろされる時。登場人物の肌の露出が異様に多い。
女の子の水着はもちろん、女刀使いは素の服装がすでに派手だし赤いシスターに至っては露出狂かと思うほどきわどい格好をしている。
しかしそれらに油断していると水着による壮絶な視覚的衝撃を受けるだろう。
ちなみに女刀使いは水着とかパンツとかそんな小さな事にこだわるのが馬鹿馬鹿しく思えてくるような姿にもなる』

 最後の一文を読んだインデックスと美琴が同時に『うわー……』と声をあげた。
 上条はこの場に当人が居合わせなかった事を適当に両手を組んで神様へ感謝してみた。それを見た本職シスターのインデックスが
『違うよ、十字を切るのはこうやるの』とレクチャーを始める。
 オカルト的説明モードに入ってしまったインデックスの代わりに、御坂妹が無表情のまま、マラキの予言のページをぱらぱらとめくっていく。

  『二〇〇五の年、四の月の一〇日目。とある魔術の五度目。夏の季の安息が終焉する時。御坂の妹の妹が現れる。
妹の妹はパンツを履いていないのに御坂の姉はパンツも見せてくれない。歳がさがるにつれてガードが甘くなる法則があるのかもしれない』

 私に関する事柄はみんなパンツ絡みかっ!? と憤慨する美琴を上条は適当になだめる。インデックスがページをめくると、一から五巻までを終え、
最初に開いた六巻目の予言の所へ戻ってきた。『二〇〇五の年、七の月の一〇日目。とある魔術の六度目。学園都市の始業式の日』と書かれているアレだ。

 上条はページに書かれた内容をもう一度目で追いつつ、
「あー、でもこれ、結局どんな始業式になるんだ? 立てなくなるような攻撃を敵から受けて、裸の二人組が眼前に登場して、
インデックスとは絡み合うというかもつれ合うんでしょ?―――どんなだよオイ!? 何だその今までにないほどの珍イベントはッ!!」
 話を整理しようとして頭がパンクした上条が『うぎゃーっ!』と絶叫していると、インデックスが何かに気づいたように『あっ』と言った。

「と、とうま。ここ見てここ!!」
「な、何だよ? ひょっとしてこの期に及んでさらに不幸な予言が書いてあるんじゃ……!?」
 インデックスの指差す所を怯える目で追いかけた上条は、電撃を受けたようにビクリと肩を震わせた。
 マラキの予言の表紙をめくった所にはこう書いてある。

『この予告はフィクションです。
実際に七月一〇日に最新刊が書店に並ぶ「とある魔術の禁書目録」シリーズ内の事件・団体・人物等とは一切関係ないかもしれません』

クリックで別ウィンドウの大きい画像が開きます。

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とある予言の禁書目録
[ end ]

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